高校生向けに微積分を使って最初から説明している参考書は次の2冊です。
初級者向け : 『微積で楽しく高校物理がわかる本』
第1章 なぜ物理に微分・積分が必要なのか
第2章 物理のための微分・積分超入門
第3章 微積で学ぶ力学
第4章 微積で学ぶ電気
第5章 微積で学ぶ磁気
第6章 微積で学ぶ電気回路
この本は、微積分と物理との関係に焦点を当てた構成になっています。
高校物理の中の力学と電磁気が微積分と密接に関わっているため、これらの分野だけを扱っています。
第3章と、第6章とが、微分積分を通してみたときに、後ろでつながっていることが分かったとき、
微積分を使って物理を勉強したからこそ味わえる感動を感じられると思います。
「微積で学ぶと、物理のここが面白いんだ!」というところに焦点を当てる本です。
社会人のための再入門シリーズからの出版となっていますが、微積を使って物理を学ぼうという高校生が、最初にチャレンジする本としておすすめです。
中級〜上級者向け:『新・物理入門』
駿台予備校の主任である山本義隆氏の書いた参考書です。
これまで、高校生が微積分を使って物理を学ぼうと思ったら、長い間、この本しかありませんでした。
前書きで、「物理とは何か」ということが、真正面から語られます。
高校時代に読んだときには、なかなか理解できず、難しく感じました。
でも、同時に、これが本当の物理なんだという輝きがありました。
長年の間、何万人もの高校生を、物理が嫌いになりそうな危機から救ってくれた本です。
この本の特徴は次の通り。
@議論を厳密に展開する。
そのため、初心者は難しく感じますが、分かり始めると、曖昧さのない記述が明解に感じるようになります。
A説明に使用する数学を、基本的に高校数学の範囲に限定しています。
大学の教科書の説明をそのまま持ってきたのではなく、著者によって、十分咀嚼された説明がなされる。この本の魅力の一つです。
B理解と問題を解くことが直接結びつかない
公式物理の参考書は、とりあえず問題を解けることを第1目標に置くため、ステップバイステップで、解法を説明するのに対し、この本は、解法についてはほとんど述べません。物理の仕組みをひたすら厳密に説明します。この姿勢はすがすがしいと思いますが、公式物理の参考書に慣れた受験生にとっては、突き放されたように感じるかもしれません。
最初から説明している本ではなく、上級者を対象とした参考書として、次の本があります。
上・下巻に分かれていて、扱っている内容は、大学初級レベルのものを含んでいます。
外積や線積分などが、説明に使われるなど、普通の受験生を対象にした本ではないように思います。
物理をよく理解している人が、さらに深い理解を求めて読んでみると面白い本だと思います。