■運動方程式の重要性
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ニュートンの力学に大きな影響を与えているのは、「公理主義」です。
最初に、いくつかの基本的な事項(公理)を定めておいて、
あとの性質は、この公理だけから導いて説明する。
これが、公理主義です。
真理を定める際に、直感の入り込む余地をなくし、真理の根拠を明確に
しようという考え方で、現代の数学や物理の根底に流れている思想です。
正しいかどうかは、公理だけが背負っていて、公理が正しいことを認めれば、
そこから導かれるすべての性質は、必然的に正しいことになります。
ニュートンは、力学の公理として、
運動の第1法則:慣性の法則
運動の第2法則:運動方程式
運動の第3法則:作用・反作用の法則
の3つを定めました。
すべての力学現象を、この3つの関係だけから説明することにしたのです。
慣性の法則は、運動方程式の力が0のときになっているので、運動方程式
に含まれています。
作用反作用の法則も、運動方程式を認めれば、必ず成り立たなければ
ならない関係なので、運動方程式に含まれています。
というわけで、力学は、運動方程式だけから、すべての力学現象を説明する
ことになります。
運動方程式とは、質量をm、加速度をa、力をFとしたときに、
ma=F
と表される力と運動に関する関係式です。
このものすごくシンプルな式から、「すべての」力学現象が説明できる。。。
このことに対して、まず、「驚き」を感じて、
実際に、現象がこの式一つから説明できていくことに「感動」し、
自分自身の力で、問題が解けるようになる。
この「驚き」「感動」がなければ、力学を学んだことにならないと
思うのです。
ここが、力学の一番「すごいところ」なんです。
速度や、時間を計算して答が合うことよりも、「驚き」と「感動」を
味わうことのほうが、何百倍も重要だと思います。
微積分を使って学ぶと、運動方程式から、すべての法則を導出して、
問題が解くことができます。
力学の根底に流れる思想を、たっぷりと体で感じながら、物理を学ぶ
ことができます。
そこには、驚きと感動があります。
みなさんも、微積分を使って、力学を学んで、ぜひ、この「驚き」と「感動」を
味わってみてくださいね。