力のモーメントとは、剛体(大きさをもち、変形しない物体)を回転させようとする作用のことだ。
力のモーメントの大きさを決める要素は2つある。
(1)力の大きさ
(2)回転の中心と、力の作用線との距離
※力の作用線とは、力ベクトルを含む直線のこと。
力のモーメントは、次のように定義される。
(力のモーメント)=(作用線までの距離)×(力)
いくつかの力が剛体にはたらいて、剛体が回転しているとき、剛体にはたらく任意の点のまわりの力のモーメントはつりあっている。
これは、図形的に言えば、力の作用線が一点で交わることを意味している。
もし物体に3つの力がはたらき、1点で交わっていないとすれば、2つの力の作用線の交点を中心に取ったときに、残りの力のモーメントだけが0にならずに残り、全体として0にならないことがわかる。
「力のモーメントがつりあっている」⇔「力の作用線が一点で交わる」
という関係を利用すると、剛体が倒れる条件と、剛体が摩擦力に逆らってすべる条件とを比較する問題を、一瞬にしてとくことが可能になる。