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”微積物理”の入門書を出版します。

3月末から4月初めに、発売開始のその本のタイトルは。。


微積で楽しく高校物理がわかる本

です。

僕は、高校生のとき、物理をほとんど理解することが出来ませんでした。

「公式」というものが、頻繁に登場するのですが、教科書を何度読み返しても、その式が何を表しているのかよく分からないのです。

また、そのような式を使って、いったい何をやろうとしているのかも見えてきません。

目の前の式に、何とか意味を与えようと四苦八苦しているうちに、中間テストは始まり、結果は悲惨なことに。。。

仕方が無いので、その式を丸暗記するのですが、「意味も分からずに暗記する」ということに対して、抵抗を感じてしまい、物理の勉強そのものが嫌いになりました。

理科系の必修科目である物理が全く出来なかったため、当然の結果として浪人生になり、予備校に通うことになりました。

そこで出会ったのが、「微積分を使って説明する物理」でした。

その論理と説明の明快さに僕は心を打たれ、夢中になって物理を勉強しました。

その結果、物理の成績は飛躍的に伸び、早稲田大学の応用物理学科に入学しました。

博士課程で学んだあと、予備校講師になりました。

予備校の教室には、かつての僕のように、”物理を全く分かっていない生徒たち”がいました。

「問題を解いてごらん」と言うと、頭の中から暗記していた公式を取り出して、紙に書き並べ、
それを適当に当てはめて解答しようとするのです。

「物理は暗記する量が多いから嫌いだ」とも言われました。

そのような生徒に、”微積物理”を教えはじめました。

難関大学をめざしていた生徒は、すぐにその有効性と面白さを理解し、自分がこれまで持っていた知識とすり合わせながら、吸収していきました。

彼らの中には、東大や東北大学の医学部などの難関大学に合格する人もいて、「微積分を使って物理を教わったおかげで、物理がよく分かるようになり、自信を持って受験に向かうことが出来た」という感想を書いてくれました。

でも、すべてがうまくいったわけではありませんでした。

標準レベルの大学を目指す”普通の受験生”には、僕が教える”微積物理”は、むずかしく感じたようなのです。

また、今まで覚えてきた公式を使った解法を土台として、それをもっとをうまく使えるようになる方法を教えてほしいとも言われました。

何のメリットがあって”微積分を使うのか”と質問をされたこともありました。

ある程度、得点を取れている生徒にとって、それを壊して、新しいやり方を最初から学んでいくことには、抵抗があるようでした。

予備校講師を始めたばかりの僕には、実績と信用がなかったため、そのような生徒が、それまでの自分のやり方を壊してまでも、”微積物理”に飛び込むための勇気を持たせることができなかったのです。

そこで、普通の生徒が、信頼して”微積物理”を学べるようにと、1年間の学習の道筋をあらかじめ示すことにしました。

そして、『田原の必修物理』というオリジナルテキストを作りました。

ここに、高校数学の範囲の微積分だけを使って物理を学ぶためのやり方を、すべて書きました。

僕が教える”微積物理”というものを形にしておいて、生徒がそれを初めに見ることが出来れば、安心して”微積物理”に飛び込むことができるのではないかと思ったのです。

『田原の必修物理』は、毎年、内容を改訂していき、現在は300ページを超えるものになりました。

さらに、難関大学志望者のための『田原の必修物理(応用解法編)』というテキストも作り、これも100ページを超えるものになりました。

物理の成績が格段に伸びる生徒が毎年現れるようになり、”微積物理”を学ぶことに抵抗を感じる生徒もほとんどいなくなりました。

僕が予備校で教えるときにこだわっているのは、”普通の生徒”に、分かりやすく”微積物理”を教えるという点です。

この部分に、一番、工夫をしています。

できるだけ、最初の壁を低くして、登っていく階段も細かく刻んで、でも、最後に到達して眺める景色は、色あせたものにはしたくない!

そんな思いで、講義をしています。


2005年の春に、予備校に通えない受験生にも”微積物理”を学べるようにと、インターネットで
「物理Web講座」を始めました。

1年目であるのにも関わらず、1000人を超える方が講座に申し込んでくれました。
(※受講者のみなさんの感想は、こちらです。)

講座を開講して驚いたのは、受験生よりも、社会人や大学生の参加者がむしろ多かったということでした。

講座を受講した理由は、人によってさまざまでした。

一部を紹介します。

★大学を再受験したい。
★まったくはじめてだが、物理に興味がある。
★高校時代に物理が分からなかったので、再挑戦したい。
★文系だけど、物理的な考え方を知ることが必要だと感じている。
★親子で学びたい。
★弁理士試験に役立ちそうだと思った。
★高校時代にあこがれだった微積物理を学んでみたい。

そして、もっと驚いたのは、社会人のみなさんの熱心さでした。
講義を配信するたびに、たくさんの質問や感想のメールをいただきました。

先日、いただいたばかりのメールの一部を引用させていただきます。

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力学の全分野の基礎を1ヶ月一寸で終えてしまったのかと思うと驚きです。
とてもわかりやすいWeb講義だと思いました。
「物理のエッセンス」という巷で大絶賛されている基礎の本がありますが
、実はボクはこの本に挫折経験がありまして、物理は絶望的だったのです。
それゆえに田原の物理の解りやすさには脱帽しました。

再受験生ですので、現役・浪人生方に比べると忘れている部分もかなり多く
(というか物理Uの電磁気範囲は完全忘却)入試まで中々猶予がないのですが
これから3月末の開講までに今まで解いて来た必修物理の問題と物理Web講座の例題と
練習、後は基礎問題精講の力学分野を目を瞑っても解けるほどやりこみたいと思います。
力学は全ての分野の基礎であるーなんて言われますし、ここを固めておけば
必ず報われることはありそうです。

2006年度講座では「田原の物理(応用編)セット+PDF版 」をひとまず受講させていただこうかと考えております。
とは言え波動分野の水面派や開口端補正とn倍振動系、光の強度計算や干渉計問題は完全にチンプンカンプンなところですし
、電磁気分野は回路を見るだけで頭が痛くなるので
PCレター版も該当タームを受講させていただくことになりそうですが(笑

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円運動のやはり力学の核ともいえる『運動方程式の立式』の強烈な威力のおかげで、ものすごいやりやすいです。

私が昔使った某参考書では、『円運動の問題は慣性力を考慮してやると座標が任意に取れる』とあったのですが、なんかまっさにテクニックと言った感じが私は生理的に受け付けませんでした。

でも難問を扱っている参考書でも、『田原式』の解法を使うとすごく『物理現象を自分の頭で分析してやる』というようにすごく積極的に取り組めます。

本当に力学、楽しかったです。

とにかく確実に運動方程式を立てること、そして、微積を自らの物理現象に対する分析の上で式変形していくのが本当に楽しかったです。

再受験に向けて今はっきりと物理は苦手意識はなくなりました。

高校や予備校の授業でそれぞれの先生方が運動方程式は大切なんだと言ってらっしゃいましたが、
今にして思えば微分積分なしに『理解しようなんて、暗記にしか学生が感じられないのは仕方の
無いことだと思います。本当に現役時代に先生の授業に出会いたかったです。。

今週の日曜日、再受験を初めての模試なので、力学がいくら取れるか楽しみになってきま
した。

あれほど物理アレルギーを持っていたのに、信じられないくらい今物理が楽しいです。
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そんな中、「物理Web講座」のことを知った、秀和システムの方から、出版の話をいただきました。

社会人が高校物理を学び直すための本を書いて欲しいとのことでした。

僕自身は、社会人に限らず、中学生であれ、高校生であれ、大学生であれ、
物理を学びたいと思う人であれば、誰が読んでも、「物理って面白いな!」と感じられるような
本を目指して執筆をはじめました。

『田原の必修物理』と、「物理Web講座」の実況講義を土台にして、物理をはじめて学ぶ人が分かるように、最初の壁を低くし、登っていく階段の刻みを細かくして、かみくだいて説明するようにしました。

”微積物理”を学ぶときには、ある程度の「微積分」の知識が必要になります。

人によっては、この「微積分」が、”微積物理”を学ぶための壁になるのではないかと思います。

そこで、第2章では、「物理に最小限必要な微積分の知識」をまとめて解説しました。

でも、数学に苦手意識を持っている人の中には、「書いてあるものを読んでも分かる気がしない」と感じる人もいるのではないかと思います。

そこで、このサイトで数学サポート講座を無料で実施することにしました。
3月の末に、すべて配信します。

★物理のための微積分超入門  (本書、第2章の内容をPCレターで解説する講座です。)
★物理のための三角関数超入門 (本書、付録の部分をPCレターで解説する講座です。)
★物理のためのベクトル超入門  (ベクトルについての解説をPCレターで行います)

この3つの数学サポート講座は、物理をはじめて学ぶ人や、高校を卒業してしばらく経つ人が、物理を学ぶときに必ず役立つはずです。

また、2006年度は、1年かけて、第3章の「微積で分かる力学」の内容を、ていねいに噛み砕いて説明する講座を開講します。

はじめての微積物理(力学編)

『微積で楽しく高校物理がわかる本』と、無料の「数学サポート講座」、そして、「はじめての微積物理」の3つが、みなさんが物理の楽しさを知るための入り口になってくれたら、うれしいです。

2006年度も、1年間、どうぞ宜しくお願いいたします。

※物理の学習法に対するヒントや、質問への回答などを、2つの無料メルマガで行いますので、もしよろしければ、登録してください。このページの上下から登録することが出来ます。

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