その理由はズバリ、高校における物理と数学の学習進度にあります。
物理がスタートする高2の4月の段階では、微積分、ベクトル、三角関数など、物理に必要な数学のほとんどをまだ習っていないのです。
ですから、高校物理の教科書は、これらの数学を使わないで説明するという非常に苦しい制約を受けるのです。
ベクトル・三角関数などは、数学との進度を見ながら、導入されるのに対し、微積分は結局、導入されずに終わります。
その結果、物理の中にあふれている「本来なら微積分を使って説明すべきところ」が、すべて、微積分を使わない説明で置き換えられることになります。
これが、分かりにくいのです。
微積分が考え出されたのは、刻一刻と変化する現象を記述する数学が必要とされていたからです。
そして、物理はまさに、そのような現象を扱うわけです。
いや、はっきり言いましょう。
刻一刻と変化する物体の運動を記述するために、力学の祖であるニュートンが、微積分を作ったのです。
その微積分を使わないで、力学を学ぶというのが、いかに不自然で、困難なことか。。。
高校のカリキュラムを無視して、微積分を使って物理を学ぶのであれば、最初に物理に必要な数学である、三角関数、ベクトル、微積分を簡単でよいから勉強しておくとよいと思います。
参考サイト
○物理のための数学入門講座